理念が浸透しない本当の原因

― 社員ではなく、“社長の無意識”が組織を作っている ―
この記事では、
実際の経営者とのセッション内容をもとに、
「なぜ理念が浸透しないのか?」
についてお話します。
これは、
多くの経営者が抱えているにも関わらず、
なかなか本質が語られない問題です。
Ⅰ.理念を作っても、なぜ組織は変わらないのか?
今回ご相談いただいた社長は、
とても社員想いの方でした。
・理念も作っている
・社員教育にも投資している
・福利厚生も整えている
・会社を良くしたい想いも強い
しかし、
それでも、
「理念が浸透しない」
「社員が主体的に動かない」
「想いが伝わらない」
という悩みを抱えていました。
そして話を深めていく中で、
社長は、
こんな言葉を口にされました。
Ⅱ.「時間を守れない社員を見ると、イライラするんです」
この一言の中に、
実は、
組織問題の本質が隠れていました。
多くの経営者は、
社員にイライラすると、
「社員に問題がある」と思っています。
しかし本当に、
そうなのでしょうか?
そこで僕は、
社長にこう問いかけました。
Ⅲ.「“時間は守るべき”って、本当に絶対なんですか?」
すると社長は、
一瞬、言葉に詰まりました。
もちろん、
時間を守ること自体が悪いと言いたい訳ではありません。
しかし重要なのは、
人は、
“自分の正しさ”
通りに相手が動かない時に、苦しくなる
ということです。
例えば、
・社会人なら時間を守るべき
・普通はこうするべき
・ちゃんとするべき
・責任感を持つべき
こうした考えは、
本人にとっては、当たり前です。
しかし実際には、
それは、
“無意識に握っている価値観”
に過ぎません。
そして、
その価値観通りに、
社員が動かない時、
イライラ、
不満、
怒り、
が発生します。
つまり、
社長は、
“社員そのもの”に反応していたのではなく、
“自分の正しさ”
に反応していたのです。
Ⅳ.理念は、“人を変える道具”ではない
さらに話を深めていくと、
社長の中に、
「理念を浸透させて、社員を変えたい」
という無意識があることが見えてきました。
ここは、
非常に重要なポイントです。
理念とは本来、
“人をコントロールするためのもの”
ではありません。
理念とは、
「こういう世界を一緒に作りませんか?」
という、共感への“誘い”です。
しかし、
理念を、「社員を変えるための道具」として使い始めると、
理念は、“愛”ではなく、“圧力”として伝わり始めます。
すると社員は、
・否定されている
・評価されている
・期待に応えなければならない
・間違ってはいけない
という空気を感じ始めます。
その結果、
主体性を失い、
本音を言わなくなり、
理念から離れていくのです。
Ⅴ.社員を変えるより、“社長が変わる”方が早い
セッションの中で、
社長は、ある瞬間、こう言われました。
「結局、私のあり方ですね…」
ここが、
本当のスタートです。
多くの経営者は、
・社員を変えたい
・組織を変えたい
・行動を変えたい
と思っています。
しかし実際には、
社長自身の“無意識”が、組織全体に、
非常に大きな影響を与えています。
例えば、
・自分の正しさ
・こうあるべき
・社員への期待
・コントロール欲
・不安
こうしたものは、
言葉以上に、“空気”として組織に伝わります。
だから僕は、「社員教育」より先に、
“社長自身の無意識を見ること”
が重要だと考えています。
Ⅵ.問題は“出来事”ではなく“解釈”から生まれる
例えば、
「社員が時間を守らなかった」
これは、
ただの事実です。
しかしそこに、
・ありえない
・責任感がない
・普通こうするべき
・社会人失格だ
という解釈が加わることで、
怒りやイライラが生まれます。
つまり、
問題を作っているのは、
“出来事そのもの”ではなく、
“自分の解釈”
なのです。
この構造に気づけると、
組織の見え方は、大きく変わり始めます。
Ⅶ.理念浸透の前に本当に必要なこと
理念を浸透させたい。
社員に主体的に動いてほしい。
組織をもっと良くしたい。
その想い自体は、
素晴らしいものです。
しかしその前に、
一度、
自分自身に問いかけてみてください。
・私は、本当に社員を信じているだろうか?
・私は、自分の正しさを押し付けていないだろうか?
・理念を“コントロール”するための手段に使っていないだろうか?
もし、
少しでも心が動いたなら、
問題の本当の原因は、
“社員”ではなく、
“社長自身の無意識”
にあるのかもしれません。
Ⅷ.組織が変わる本当の入口
僕は、
長年、経営者の相談に乗る中で、
組織問題の多くは、“社員”ではなく、
“構造”に原因があると感じています。
そしてその構造は、
社長自身の、
・正しさ
・解釈
・コントロール欲
・無意識の前提
から生まれていることが非常に多いのです。
だからこそ、
組織を本当に変えるためには、
「社員を変える」ではなく、
“社長自身が、自分の無意識に気づくこと”
がスタートになります。
その瞬間から、
組織の空気も、人間関係も、主体性も、
自然と変わり始めるのです。
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