“絶対”とは何か?

― 人を苦しめる“無意識の正しさ” ―
あなたは普段、
・「普通はこうするべきだ」
・「社会人なら当たり前だろう」
・「ちゃんと考えれば分かるはず」
・「こうあるべきだ」
そんなふうに感じることはないでしょうか?
例えば、
・社会人なら時間を守るべき
・上司の指示には従うべき
・社員なら責任感を持つべき
・親なら子どもを愛するべき
・人には迷惑をかけてはいけない
こういった考えです。
もちろん、
これらの考え自体が悪いと言いたい訳ではありません。
問題は、その考えを、
「絶対に正しい」と思い込んでしまうことです。
Ⅰ.『絶対』とは何か?
僕の考える『絶対』とは、
“他の可能性が存在しない”
と、無意識に思い込んでいる状態です。
つまり、
「こうあるべき」という考え以外の可能性が、
見えなくなっている状態です。
例えば、
「社員は報告・連絡・相談をするべきだ」
という考え。
これは、
ある人にとっては当然かもしれません。
でも別の人にとっては、
「まず自分で考えたい」
「失敗してから相談したい」
という価値観かもしれません。
つまり、
自分にとっての“当たり前”は、
必ずしも世界共通ではないのです。
Ⅱ.“正しさ”は、立場や状況で変わる
極端な例の方が、
分かりやすいかもしれません。
例えば、
「人を殺してはいけない」
これは、
多くの人にとって、当然の正しさです。
しかし、
戦争という状況になると、
「国を守るため」という別の正しさが生まれます。
つまり、
国、
立場、
時代、
状況、
によって、
“正しさ”や“最適解”は変化するのです。
だから僕は、
人間の世界に、
「絶対にこれだけが正解」というものは存在しない
と思っています。
Ⅲ.人は無意識に『絶対』を握っている
ここで重要なのは、
多くの場合、
本人は、
自分が『絶対』を握っていることに、
気づいていない
ということです。
人は、
・育った環境
・親の価値観
・学校教育
・社会常識
・過去の成功体験
などによって、
無意識に、「これが正しい」という前提を作っています。
そして、
その前提を、“世界共通の正解”だと思い込んでしまいます。
でも実際には、
その正しさは、数ある価値観の一つに過ぎません。
Ⅳ.なぜ『絶対』は人を苦しめるのか?
『絶対』が苦しみを生む理由は、
現実が、
自分の思い通りにならないからです。
例えば、
「社員は空気を読むべき」という絶対を持っている人は、
空気を読まない社員を見るたびに、
イライラします。
「相手は自分を理解するべき」という絶対を持っている人は、
理解されないたびに、苦しくなります。
つまり、
苦しみの原因は、相手そのものではなく、
“自分の中の絶対”に現実が一致しない
ことなのです。
Ⅴ.『絶対』は、可能性を閉じる
『絶対』を握ると、
人は、
他の可能性が見えなくなります。
例えば、
「社員は厳しく育てるべき」という絶対を持っていると、
“安心できる環境の方が人は育つ”という可能性が見えなくなります。
「自分には能力がない」という絶対を持っていると、
本来の可能性に気づけなくなります。
つまり、
『絶対』とは、可能性を閉じる“思い込み”
とも言えるのです。
Ⅵ.問題の本質は、“出来事”ではなく“解釈”
長年、
経営者の相談に乗る中で感じるのは、
人間関係や組織問題の多くは、
“絶対化された正しさ”から始まっている、
ということです。
社員が問題なのではない。
出来事そのものが問題なのでもない。
その出来事に対して、
・「普通こうするべき」
・「ちゃんとやるべき」
・「分かって当然だ」
という“解釈”が加わることで、
怒りや苦しみが生まれていることが多いのです。
Ⅶ.自分の『絶対』は、自分一人では気づけない
ここが、
とても重要なポイントです。
人は、自分の背中を、
自分一人では見られません。
それと同じように、
自分の握っている『絶対』も、
自分にとっては、当たり前すぎて気づけないのです。
だからこそ僕は、経営者の“鏡”のような存在として、
「それって、本当に絶対ですか?」
という問いを大切にしています。
『絶対』がゆるんだ瞬間、可能性が広がる
「こうあるべき」しか見えていなかった世界に、
別の可能性が見え始める。
すると、
今までイライラしていたことが、
そこまで気にならなくなる。
苦しかった人間関係が、少し楽になる。
社員の見え方が変わる。
組織の空気が変わる。
そして、
“こうでなければならない”という一つしかなかった世界から、
無数の選択肢が見えるようになるのです。
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