人は“育てる”のではなく“育つ”

―「育つ環境」の構造 ―
あなたは、
こんな悩みを抱えたことはないでしょうか?
・社員に何度言っても変わらない
・主体性を持ってほしいのに、指示待ちになる
・子どもに良かれと思って関わっているのに反発される
・厳しくすると萎縮し、優しくすると甘える
・「育てよう」と頑張るほど、なぜか空回りする
もし、
そう感じているなら、
その原因は、“相手の能力不足”ではなく、
“育つ環境”にあるかもしれません。
Ⅰ.人は“育てられて”成長する訳ではない
多くの人は、「人を育てる」という発想を持っています。
しかし実際には、
人は、“他人に育てられている”訳ではありません。
本来、人には、
自ら育つ力があります。
例えば、
植物を想像してみてください。
種の中には、最初から、
芽を出し、
根を張り、
成長する力
が備わっています。
しかし、
どれだけ優れた種でも、
・土壌
・水
・日光
・温度
といった環境が悪ければ、うまく育ちません。
逆に、
適切な環境が整うと、
種は、自然と育ち始めます。
つまり、
重要なのは、“無理やり育てること”ではなく、
“育ちやすい環境を整えること”
なのです。
これは、
人材育成も、
組織づくりも、
子育ても、
夫婦関係も、すべて同じです。
Ⅱ.多くの人は“育てよう”としてコントロールしている
しかし現実には、
多くの経営者や親は、
「育てたい」と思うあまり、
無意識に、コントロールしようとします。
例えば、
・もっとこうしろ
・なんでできないんだ
・普通はこうするだろ
・ちゃんと考えろ
・主体性を持て
こうした言葉です。
もちろん、本人に悪気はありません。
むしろ、「相手のため」を思って言っています。
しかし、
ここに大きな落とし穴があります。
なぜなら、
人は、コントロールされるほど、
主体性を失う
からです。
Ⅲ.コントロールでは人は育たない
例えば、
常に指示される環境では、
人は、「自分で考える」必要がなくなります。
すると、
・正解探し
・顔色を伺う
・失敗回避
・指示待ち
が始まります。
つまり、
コントロールが強い環境ほど、主体性は失われる
のです。
これは、
家庭でも同じです。
親が、「勉強しなさい」と言い続けるほど、
子どもが勉強嫌いになることがあります。
夫婦でも、相手を変えようとするほど、
関係が苦しくなります。
つまり、
“良かれと思ってやっていること”が、
逆に、相手の成長を止めていることが非常に多いのです。
Ⅳ.人が育つために必要なのは“安心”
では、
人が本当に育つために必要なものは何でしょうか?
僕は、“安心”だと考えています。
なぜなら、
人は、安心できる環境でしか、
本来の力を発揮できないからです。
例えば、
・否定されない
・失敗しても人格否定されない
・自分の意見を言える
・存在を認められている
・比較されない
こうした環境では、
人は、自然と挑戦し始めます。
逆に、
・怒られる
・否定される
・正しさを押し付けられる
・失敗できない
という環境では、人は防御モードに入ります。
すると、
本音を隠し、
挑戦を避け、
可能性を閉じ始めます。
つまり、
安心感の有無が、人の成長を大きく左右しているのです。
Ⅴ.心理的安全性の本質
最近は、
「心理的安全性」という言葉も広がっています。
しかし、
ここで誤解してはいけないのは、
心理的安全性とは、“ただ優しくすること”ではないということです。
本質は、
「この場所では、自分を否定されない」
と感じられる状態です。
つまり、
安心して、
・失敗できる
・挑戦できる
・意見を言える
・自分を出せる
という状態です。
この土壌があるからこそ、主体性が生まれます。
逆に、
どれだけ制度や仕組みを整えても、
経営者自身が、無意識に、
・圧力
・正しさ
・コントロール欲
を出していると、人は萎縮します。
つまり、
環境は、制度ではなく、
“関わり方”によって作られているのです。
Ⅵ.育つ環境を壊しているのは、“正しさ”かもしれない
僕は、
長年、経営者の相談に乗る中で、
組織が苦しくなる原因の多くは、
“社長の正しさ”
にあると感じています。
例えば、
・こうあるべき
・普通はこうする
・社会人なら当然
・上司の言うことは聞くべき
こうした正しさです。
もちろん、正しさ自体が悪い訳ではありません。
しかし、
それを絶対化すると、
社員は、「否定されないように生きる」ようになります。
すると、
挑戦しなくなり、
本音を言わなくなり、
主体性を失います。
つまり、
“正しさ”が、育つ環境を壊していることがあるのです。
Ⅶ.人は、“変えよう”とすると閉じる
これは、僕自身が、
重度自閉症の娘との関わりの中で、
痛感したことでもあります。
昔の僕は、
「なんとか変えたい」
「なんとか思い通りにしたい」
と思っていました。
しかし、
変えようとすればするほど、
苦しくなったのは、
娘だけではなく、【僕自身】でした。
そして僕は、
ある時、
「人はコントロールできない」
という事実を受け入れました。
すると逆に、
娘は、自然と成長し始めたのです。
つまり、
人は、“変えようとされる”と閉じます。
しかし、
安心できる環境では、
自然と、自ら育ち始めるのです。
Ⅷ.本当に必要なのは“育てる力”ではなく“育つ環境”
だから僕は、「どう育てるか?」よりも、
“どうすれば育ちやすい環境になるのか?”
の方が重要だと考えています。
そのためには、ノウハウより先に、
経営者自身が、
・無意識の正しさ
・コントロール欲
・解釈
・絶対化された価値観
に気づく必要があります。
なぜなら、
環境を作っているのは、
経営者自身の“あり方”
だからです。
だからこそ僕は、
「それって、本当に絶対ですか?」
という問いを大切にしています。
その問いによって、
今まで無意識に握っていた正しさが緩み、
人をコントロールする関わり方から、
人が自然と育つ環境づくりへ、
変わり始めるからです。
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