1. HOME
  2. 特集
  3. 【第一部:完】第5章:人材育成の原理原則―「教え込む」を捨てたとき、社員は勝手に育ち始める

SPECIAL

特集

【第一部:完】第5章:人材育成の原理原則―「教え込む」を捨てたとき、社員は勝手に育ち始める

「早く一人前になってほしい」
「もっと自律的に動いてほしい」

経営者なら誰もが抱くこの切実な願いが、
皮肉にも「社員の成長を止める最大の原因」になっているとしたら、
あなたはどう感じますか?

多くのリーダーが良かれと思って行う「熱心な指導」や「マインドセットの注入」。

しかし、その実態は、土から顔を出したばかりの芽を
ピンセットで無理やり引っ張り上げるような、
生命の摂理に反する「暴力」に近いものかもしれません。

第一部「社員を変えない人材育成」の締めくくりとなる本章では、
人材育成における究極の原理原則――「人材開花」のメカニズムを解き明かします。

なぜ、教えるのをやめると社員は育ち始めるのか?
なぜ、社長の「正論」が組織の毒になるのか?

これまでの第1章〜第4章で紐解いてきた「社長の解釈」というテーマを、
【P=F+I】の方程式で集約し、明日からあなたが「教えるティーチャー」ではなく
「見守る農夫」として、組織を劇的に変容させるためのマインドセットを提示します。

この記事を読み終える頃、あなたは手元の「ピンセット」を捨て、
社員が自ら輝き出す圧倒的な解放感を味わう準備ができているはずです。

1.「焦り」という名のピンセットが才能を握りつぶす

想像してみてください。
あなたは丹精込めて種をまきました。

しかし、なかなか芽が出ない。焦ったあなたは、土を掘り返し、
種の中からピンセットで無理やり芽を引っ張り出そうとします。

結果はどうなるでしょうか?

芽はちぎれ、種としての生命力は失われ、二度と花を咲かせることはありません。

これと同じ「悲劇」が、日本の至る所の会議室で起きています。

「プロ意識を持て」と精神論を注入する

「自分事として捉えろ」と正論で詰め寄る

外部研修でマインドセットを無理やり「書き換え」ようとする

これらは、社員という生命体が持つ内発的な成長力を、
リーダーの「エゴ(支配欲)」で抑圧する行為に他なりません。

いわば、「教育」が「暴力」に変わる瞬間です。

2.「Being(環境)」が「Do(行動)」を決定づける

これまでの「スキルを教える教育(Doの教育)」と、
僕が提唱する「存在を認める教育(Beingの環境整備)」の違いを整理しましょう。

※項目/従来の「足し算の育成」/奥田流「引き算の育成」
前提/社員は「欠けた存在」である/社員は「可能性の塊」である
手法/スキルや意識を「注入」する/成長の邪魔者を「排除」する
役割/ティーチャー(教える人)/ガーデナー(土壌を整える人)
結果/指示待ち・依存体質の強化/自走・自己組織化の発生

植物に光、水、適切な温度が必要なように、
人間にも「心理的安全性」と「自己決定感」という栄養が必要です。

環境さえ整えば、種は自らの力で、
自らのタイミングで必ず芽吹くように設計されているのです。

3.プロの仕事は「解釈の毒」を抜くこと

ここで、本連載の核心である「問題の方程式」を最終形へと進化させましょう。

P(Problem)=F(Fact)+I(Interpretation)

第1章からお伝えしてきた通り、
社長が「社員が育たない(F)」を問題視するとき、
その真因は社長自身の「歪んだ解釈(I)」に潜んでいます。

・「正論」という名の凶器で相手を論破していないか?

・「期待」という名の圧力で相手をコントロールしようとしていないか?

・「不安」という名の毒を、組織の土壌にまき散らしていないか?

人材育成の専門家としての僕の役割は、新しい知識を植え付けることではありません。

社長が知らず知らずのうちに土壌に混ぜてしまった
「成長阻害要因(支配欲・不信感・固定観念)」を特定し、
それを取り除く「引き算」のお手伝いをすることです。

社長が「コントロール欲」という重荷を手放した瞬間、
土壌は浄化され、社員は驚くほどの勢いで自ら動き始めます。

これは希望的観測ではなく、そうなるべくしてなる生命の原理原則なのです。

4.第一部の結びに:あなたは「農夫」になれるか

「人材育成」という言葉を、今日から「人材開花」と呼び替えましょう。

花を咲かせるのは、あなたではありません。社員自身です。

あなたは、ただ黙って、ふかふかの土壌を守り続ける「農夫」になれるでしょうか。

ピンセットを捨て、自分の「解釈(I)」を整え続ける勇気を持てるでしょうか。

この究極の原理原則(アルケー)を腹に落とした経営者だけが、
次章から始まる信じられないような
「組織のV字回復」を目の当たりにすることになります。

【第2部予告】

「理論はわかった。では、具体的にどう組織を動かすのか?」

次章からは、実際にこのメソッドを導入し、
崩壊寸前の組織が「自走するチーム」へと変貌を遂げた
具体的なケーススタディを順次公開していきます。

オススメ記事

第一部:社員を変えない人材育成法

【第5章】(本記事)
人材育成の原理原則:植物の種は芽をピンセットで引っ張っても成長しない。
「教育」とは教え込むことではなく、阻害要因を取り除くこと。

著者プロフィール

社員を変えない人材育成の専門家 奥田 政弘

経営コンサルティング歴20年以上のキャリアを持つ。
「社員を変えようとせず、社長のあり方を変える」ことで組織を劇的に再生させる独自手法を提唱。

その原点は、重度自閉症の娘との15年にわたる格闘と、絶望の先に見つけた
「コントロールの手放し」にある。心理学に基づいた問題解決の方程式「P = F + I」を武器に、
数千万円を投じても変わらなかった組織を、わずか数ヶ月で自律型組織へと変貌させる実績を多数持つ。

「会社はトップで120%決まる」という信念のもと、
唯一無二の社員を変えず、社長のあり方を磨くアプローチで長年解決できない人材育成の悩みを即解決する支援している。