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「正論」は組織を殺す凶器になる。なぜ正しいことを言うほど、社員は動かなくなるのか?
「ビジネスなんだから、時間を守るのは当たり前だ」
「相手の立場に立って考えるのがプロの仕事だ」
「報告・連絡・相談ができていない。基本がなっていない」
社長、こういった言葉を社員にぶつけたことはありませんか?
これらは1ミリも間違っていません。100%正しい「正論」です。
しかし、残念な真実をお伝えします。
社長が「正しいこと」を言えば言うほど、社員の成長は止まり、組織は死に向かいます。
①正論が社員の脳をフリーズさせる
なぜ、正論は効かないのか。
それは、正論が社員にとって「逃げ道のない否定」として機能してしまうからです。
人は、逃げ場のない正論を突きつけられると、脳が防御態勢に入ります。
つまり、物理的に思考が停止し、フリーズするのです。
社長が「正しいこと」で詰め寄れば寄るほど、社員の脳内は「怒られないための言い訳」を探すことで一杯になり、自発性や創造性はゴミ箱に捨てられます。
かつての僕のクライアント、Iさんもそうでした。
Iさんは、自分の得意な営業スタイルを「正解」として社員に徹底させていました。
社長としては「良かれ」と思っての指導です。
しかし、社員は力を発揮できず、売上は低迷。
これは、社長の「正しさ」が、社員を縛る「足かせ」になっていた典型的な例です。
②「怒り」の正体は、あなたの中の固定観念
社員に対して「なんでこんな当たり前のことができないんだ!」とイラッとしたとき、それは感情の問題ではありません。
前回、お伝えしたあの方程式を思い出してください。
【問題社員 = 社員の言動 + 社長のマイナス評価】
あなたの中にある「固定観念」という名の眼鏡が、目の前の社員の言動に対して「マイナス評価」を下した瞬間に、「問題社員」が誕生するのです。
あなたの中にある「固定観念」という名の眼鏡が、その怒りを作り出しているのです。
「挨拶はすべき」
「報連相は当然だ」
こうした「自分にとっての当たり前」というモノサシで相手を裁くから、怒りが生まれます。
しかし、使い方を間違えると、そのモノサシは、気づかないうちに凶器になっています。
例えば、「挨拶をすべき」というモノサシを持って、社員の前に立つとどうなるか?
「こいつ、ちゃんと挨拶できるんか?どうなんだ?」と社員をチェックするための道具として使っています。
一方、「気持ち良い挨拶でお互い気持ちよく!」というモノサシであれば、
社員のダメなところをチェックしたり、できない理由を探そうとするスタンスは消えてなくなります。
こんな小さなことですが、1つだけではありません。
想いの強い経営者であればあるほど、多くの正しさを持っています。
その一つ一つで、社員をチェックし、萎縮させていたら、どうでしょうか?成長する社員も成長できなくなってしまいます。
本来、社員が100人いたら100通りの得意不得意があります。
経営者が最も得意なやり方を「絶対の正解(正論)」として押し付けても、
それは経営者が得意なやり方であって、社員に当てはめると、不適合を起こすのは当たり前なのです。
③武器を置いた瞬間、売上が上がる
先ほどのIさんの話には、続きがあります。
僕との対話を通じて、Iさんは「自分の正解を押し付けていた」ことに気づきました。
そこで、営業のやり方を「社員の好きなように」させてみたのです。
つまり、社長が握りしめていた「正論という武器」を置いたわけです。
するとどうなったか。
わずか3日後、その女性社員が200万円の仕事をポンと受注してきました。
社長が「正しさ」で管理するのをやめ、社員の足かせを外した瞬間、
社員は自ら考え、勝手に結果を出し始めたのです。
④調律:正論を振りかざす前に「眼鏡」を疑え
本当に効果のある武器なら、何年もかかりません。半年、早ければ数日で結果が出ます。
もし、今のやり方で社員が動いていないなら、
その「正論」こそが、あなたを縛り、社員を殺している一番の原因かもしれません。
「他人の考え方を変える」といった社員教育は、最初から実現が難しいアプローチです。
しかし、社員の成長に貢献しない色のついたメガネ、正しくないモノサシは、社長自身の意思で交換可能です。
サングラスをしていたら、世の中に色がついて見えますが、それを外した瞬間、目の前の景色、世界は一変します。
そんな理想の世界を一瞬で実現するために、理想の実現に貢献しない正論という凶器を置きませんか。