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第一部:社員を変えない人材育成【第2章】自閉症の娘が教えてくれた「コントロールを手放す」という勇気「思い通りにならない」という絶望の先にあった、人材育成の真実。
この記事では、**「社員が思い通りに動かない」「教育しても成果が出ない」と悩む経営者の方へ、人材育成の常識を覆す「コントロールを手放す勇気」**について解説します。
20年以上の経営コンサルタント実績を持つ筆者が、
重度自閉症の娘との15年にわたる格闘の末に辿り着いたのは、
**「正論で人をコントロールしようとするエゴ」**が成長を阻害しているという衝撃の真実でした。
- なぜ必死に「正しいやり方」を教えても、組織の状態は悪化するのか?
- 社長が握りしめている「正しさという名の凶器」の正体とは?
- 管理や執着を捨てた瞬間に、なぜ社員は自発的に成長し始めるのか?
自閉症の娘が教えてくれた「ありのままを受け入れる」という境地。
そこから導き出される、最短最速で自律型組織を作るための人材育成の本質をお伝えします。
僕のコンサルティングの原点は、ビジネス書の中にはありません。
重度自閉症の娘との、15年に及ぶ格闘と、その先にある「降参」の中にありました。
かつての僕は、自分の人生も、仕事も、社員も、努力と戦略次第で
「思い通りにコントロールできる」と信じて疑わない傲慢な人間でした。
コンサルタントとして実績を上げれば上げるほど、
「俺は分かっている」「俺ならできる」とその「万能感」は肥大していきました。
しかし、
娘の誕生によって、これまで僕が築き上げてきた世界が根底から覆されたのです。
1.「正論」という武器が折れた夜|正しい療育法でも解決できなかった問題
理由もわからずパニックになり、数時間泣き叫び続ける娘。睡眠障害で一睡もできない夜。
僕は必死でした。ありとあらゆる効果のあると言われる療育法を調べ、
専門家の話を聞き、良いと言われる「正しいやり方」を試しました。
コンサルタントとして培った「問題解決能力」をフル稼働させて、娘を「普通」の枠にハメ込もうとしたのです。
しかし、必死になればなるほど、娘の状態は悪化していきました。
「なぜ泣き止まないんだ」「なぜ寝ないんだ」「どうして変わらないんだ」と、
そのイライラと絶望の矛先は、いつしか娘に向いていました。
ここで、前回お伝えした方程式を当てはめてみます。
わが家の「問題」の構造
P (Problem) = F (Fact) + I (Interpretation)
P(問題): 絶望。怒り。娘に対する拒絶反応。
F(事実): 娘がパニックで泣き止まない。
I(解釈): 僕の育て方が悪いのか。なぜ普通にできないんだ。将来はどうなるんだ。
当時の僕は、泣き止まないという「事実(F)」を力技で変えようと躍起になっていました。
しかし、問題の根源は、娘の状態ではなく、
僕が勝手に作り上げた「娘はこうあるべきだ」という理想モドキの解釈(I)が原因だったのです。
2.「【僕が】辛い」の正体|部下へのイライラは社長自身の「エゴ」から生まれる
ある夜、泣き叫ぶ娘を前にして、僕はハッと気づきました。
「なんで泣き止まないんだ!」と怒鳴りたくなっているのは、娘を心配しているからじゃない。
思い通りにならない娘を見て、僕が、僕自身の無力さを突きつけられて【僕が】辛いからだ。
苦しんでいるのは、娘ではなく、「娘を自分の理想の型にハメ込もうとしている【自分自身】だったのです。
娘をコントロールしたいという僕の「エゴ」が、娘を苦しめ、僕を追い詰めていた。
つまり、「こうあるべき」という「正しさ」を握りしめているのは、他ならぬ僕自身だったのです。
その瞬間、僕は降参しました。
「もう、思い通りにしようとするのはやめよう。ありのままの娘を、ただ受け入れよう」と。
3.コントロールを手放した先に起きた「奇跡」|執着を捨てた瞬間に始まる、自発的な成長の力
娘をコントロールしようとする執着(解釈)を捨て、彼女が心地よいと感じる環境を整えることだけに徹しました。
娘をどうにかしようとするのではなく、
僕ができることとして、娘が不快に感じるであろうことを先読みして、
事前排除を徹底してやるようにしました。
そして、娘をコントロールしようとする働きかけを一切やめ、
僕からの「期待という名の圧力」をゼロにしたのです。
すると、信じられないことが起きました。
僕からの圧力が消えた瞬間、娘の中に眠っていた成長の力が、堰を切ったように溢れ出したのです。
その結果、
かつては発語もなかった状態から
今では娘との会話が成立し、睡眠障害も克服し、毎日泣いていた状態から、
逆に笑顔が増え、今では毎日を謳歌しています。
実際、お世話になった療育の先生の勉強会で、
成功事例としてお話いただく位に劇的な成長を遂げることができました。
僕が何かを「させた」のではありません。
僕が「邪魔をするのをやめた」だけなのです。
4.社員という「種」の力を信じきれるか|「正しさ」という猛毒を捨て、グングン育つ環境を整える
この力学は、経営における人材育成にも同じように働いている原理です。
経営者は、社員という「種」の中に、すでに成長する力が備わっていることを忘れてしまいがちです。
早く芽を出させようとして、種をピンセットで無理やり引っ張り出しても、芽は伸びません。
「もっとやる気を出せ」「プロ意識を持て」という社長の正義感(圧力)が、実は社員の成長を封じ込めている。
つまり、成長に必要な環境を汚しているのは、社長自身の「解釈の癖」や「支配欲」かもしれないのです。
人材育成の極意は、社長が「諦める(手放す)」ことにあります。
「社員を変えること」を諦め、「社長自身のあり方」を変えることで、
社員がグングン育つ環境を整えることができます。
社長が「正しさという名の猛毒」を土壌にまくのをやめたとき、社員は自らの力で、驚くほどの成長を見せ始めます。
今、あなたが『問題社員』だと思っているその人は、本当に問題なのでしょうか?
それとも、あなたの『正しさ』というフィルターが、彼らを問題に仕立て上げているのでしょうか?
次回、第3章では、なぜ『正論』が組織を殺してしまうのか、そのメカニズムをさらに深掘りします。

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著者プロフィール
社員を変えない人材育成の専門家 奥田 政弘
経営コンサルティング歴20年以上のキャリアを持つ。「社員を変えようとせず、社長のあり方を変える」ことで組織を劇的に再生させる独自手法を提唱。
その原点は、重度自閉症の娘との15年にわたる格闘と、絶望の先に見つけた「コントロールの手放し」にある。心理学に基づいた問題解決の方程式「P = F + I」を武器に、数千万円を投じても変わらなかった組織を、わずか数ヶ月で自律型組織へと変貌させる実績を多数持つ。
「会社はトップで120%決まる」という信念のもと、唯一無二の社員を変えず、社長のあり方を磨くアプローチで長年解決できない人材育成の悩みを即解決する支援している。
