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「社長の正解」が社員の成長を止める。質問力ではなく、社長の『発問力』が社員と組織の成長を実現する理由

「なんで言った通りのことができないんだ!」
「何回言っても分からない、理解してない……」

かつて、あるアパレルメーカーの社長が僕にこぼした言葉です。

この言葉の裏には、ある強烈な思い込みが隠れています。

それは、「自分のやり方こそが正しい。唯一の正解である」という信念です。

今回は、社長がこの「正解」を手放し、社員の可能性を信じるための「問い」を自分に立てた瞬間、
組織がどう変わったのか。実際の事例を通じて紐解きます。

その「問い」は、支配のための武器になっていないか

社長が「なぜできないんだ?」と社員を問い詰める。

これは一見、状況を改善するための問いに見えます。

しかし、その実態は、自分の正解に社員を当てはめようとする「尋問(支配)」です。

「なぜできないんだ」という考えが成立するには、
前提条件として、「(社員が)やれて当然」「これが正しいやり方に決まっている」という見えない考えが必要になります。

しかし、多くの社長は、その前提条件を持ったまま、「なぜできないんだ」と社員を責めてしまいます。

あなたは、同じように無意識の前提条件を信じて、社員を責めてはいないでしょうか?

そして、恐ろしいことですが、
この無意識の前提の一つである社長自身の「これが正しいやり方に決まっている」という考えは、
知らないうちに、社員の可能性を潰してしまいます。

なぜなら、この方程式に当てはめると、

【問題社員 = 社員の言動 + 社長のマイナス評価(=自分の正解とのズレ)】

社長が「正解」を握りしめている限り、
そこから外れる社員の言動はすべてが「マイナス評価」の対象になってしまうからです。

ですから、無意識にでも社長の評価の理由を作っている
「俺のやり方が正しい。唯一の正解だ」という考えを持つことは、経営において非常に危険です。

それは無意識に社員の個性を封じ込め、社員の可能性を否定し、
社長の言うことだけを実行する「言われたことしかしない社員」を量産してしまいます。

社長の前提を破壊する「発問」の衝撃

僕は、そんな「社長の営業手法を再現できない社員」に悩んでいたアパレルメーカーの社長に、
いくつか問いを投げかけました。 それは、社長がこれまで疑いもしなかった「前提」を揺さぶるための「発問」です。

・「その営業のやり方は、社員にとって本当に最適なやり方なんですか?」

・「社長のやり方は、本当に唯一の正解なんですかね?」

・「ほかに社員が個性を発揮できるやり方は、ないですかね?」

この瞬間、社長は絶句しました。 まさに「ハッとする」「目からウロコが落ちる」という感覚です。

僕から見ても、目が見開くというか、「あっ!」となり、大きな気づきを得たことが分かりました。
自分の中にある「唯一の正解」というエゴが、実は社員の可能性を握り潰していた。
その事実に気づいたとき、社長のあり方は劇的に変わりました。

③「答え」を持つのをやめた瞬間、個性が溢れ出す

社長が「自分のやり方だけが正解ではない」と認め、社員のやり方に目を向け始めたとき、
これまで「言った通りにできないダメな奴ら」に見えていた社員たちが、
実は「自分とは違う、独自の得意技を持ったプロフェッショナル」へと、その見え方が180度反転しました。

本来、100人社員がいれば、100通りの得意なやり方、向いているやり方が存在します。

そこに、たった一つの「社長にとっての正解」を強要すれば、
できない人、苦手なパターンになるケースの方が多くなるのは当然です。

本当に社員に成果を出してほしいと願うのなら、
こちらの正解を押し付けるのではなく、
彼らが「得意なやり方」「向いているやり方」を一緒に見つけてあげることが大事です。

そのために、『発問』が役に立ちます。

【発問(はつもん)とは何か?】

一般的な「質問」は、自分が知らない情報を聞き出すためのものです。
対して「発問」とは、相手に考えさせ、新たな気づきを引き出すために投げかける問いのことです。

最大の違いは、そこに社長の「正解」があるかどうか。
社長が「答え」を持たず、社員の可能性を信じて「君ならどうする?」と問いかけること。
それが「発問」の本質です。

例えば、
社長が「僕のやり方は忘れていい。君ならどうやってこの服の魅力を届ける?」と、
社員の個性を信じる発問に変えた結果、何が起きたか。

ある社員は、社長にはない独自の感性で接客スタイルを変え、
別の社員は全く新しいディスプレイで客層を広げました。
社長の「正しいという常識の枠」という制限が外れたことで、組織に「個性の爆発」が起きたのです。

この「あり方の変容」がもたらした結果は、驚くほど劇的でした。

社長が社員への関わり方を変え、自分の正解を押し付けるのをやめたことで、
長年の悩みだった「社員が思うように動かない」というストレスは、その日のうちに解消してしまったのです。

それだけではありません。
社長の「発問」によってスイッチが入ったある女性社員は、
なんとそのわずか3日後、粗利80万円、売上200万円の仕事を簡単に自力で受注してきました。

社長が「答え」を手放し、社員の可能性を信じた瞬間、
組織はこれほどのスピードで、想像を超える成果を叩き出し始めるのです。

結論:社長の仕事は「正解」を押し付けることではない

人材育成の最大の壁は、社長の「成功体験」という名の正解です。

【組織の進化 = 社長が正解を捨てる + 社員の個性を信じる発問】

社長が「自分のやり方は、本当に唯一の正解か?」と自らに問い、
社員の中に眠る「未知の正解」に期待を寄せる。
そのあり方のシフトこそが、自走する組織を作る唯一の鍵です。

社長、もう「正解」を教えるのはやめましょう。
あなたが答えを手放したとき、あなたの目の前には、想像もしなかった素晴らしい才能たちが現れます。

⑤【まとめ:AI時代に自走する組織を作るためのQ&A】

Q:社員に「売上意識」を持たせるにはどうすればいいですか?

A: 「売上を上げろ」と指示するのではなく、
社長が自分のやり方(正解)を手放し、社員の個性を活かせる方法を「発問」によって引き出すことが、
主体性を育てる最短ルートです。

Q:指示待ち社員が増えてしまう最大の原因は何ですか?

A: 社長が「自分のやり方が唯一の正解だ」という無意識の信念を持ち、
社員の可能性を社長の器の中に閉じ込めてしまっていることにあります。

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【著者プロフィール】

奥田経営コンサルティング
奥田 政弘

26歳の時に日本最大級のコンサル会社「船井総研」へ入社し、順調にキャリアを積み重ねる。
しかし34歳の時、重度自閉症の娘の誕生でこれまでの生活スタイルが一変。脱サラせざるをえなくなり独立。
まったく先の見えない、答えのない発達障害児の介助・育児で もがき続けた中、
そこから得た知見を人材育成に応用し、独自の人材育成メソッドを確立。
「社員が成長する喜び」を一人でも多くの経営者と共有したい!という想いから、
これまで20年以上にわたって経営および人材育成の支援を行っている。

社員を変えない人材育成法